桐たんすの再生

機能美を取り戻す木地修理と塗装

木地修理

鉋がけの様子

使い込まれた桐たんすを、「中にしまう物を守る」という本来の機能を取り戻して発揮できるように、割れや隙間、反りやがたつきの状態を確認し、気密性を高める修理を行います。がたつきは、お客さまにとっても桐たんすとっても負担になり、大きな隙間があると、そこから埃や湿気が入り込みカビの原因になります。
がたつきをなくし、隙間を埋め、引出しや扉がスムーズに開閉できるように仕込み直します。また表面の段差を平らになるように削り、ピシッと木地の修理をすると使い易くなるばかりでなく、桐たんすも中に入れる品物も長持ちします。
次の工程である塗装を美しく仕上げる為にも、この木地修理は重要な作業です。

塗装

塗装の様子

桐の調湿機能を妨げない「砥の粉」とロウによる、自然の素材を使った塗装を行っています。一般の家具で用いられる表面を強くコーティングするウレタン塗装などは、桐の呼吸を妨げるため、桐たんすには適していません。
お化粧に似ていると言われる砥の粉での塗装は、色や木目の出方が、木質や塗装する時の天気によって変わります。使用する量を加減したり、温度や湿度の調整を行い、美しい木目が出ることを目指しています。また、砥の粉による塗装は水や油に弱い特徴があります。それは欠点のように思えますが、桐たんすの調湿機能と美しさにとって欠かすことができない利点であり、美しい木目の表面は人知れず働いて、中の品物を守っています。

桐たんすの再生工程

金物外し

金物外しの様子

昔の桐たんすの金物には、大変貴重なものもあります。また、長く使われてきた金物には愛着を感じておられると思います。壊れて使えない金物以外は、桐たんすと共にきれいにして使えるように慎重に取り外します。新しい金物への交換や、メッキ直しも可能です。

洗 い

洗いの工程の様子

内部の埃や汚れ、表面の塗装(砥の粉やロウ)を洗い流します。細かい所にたまった埃もこすり洗い、陰干しをして、じっくりと乾かします。

木地修理

● 深い凹みの修理

深い凹みの修理比較画像

似た木目の材をひし形にして埋め、修理箇所が目立たないようにします。

● 虫食いの修理

虫食い部分の修理の様子

虫食い部分は取り除いて、新しい桐材を張ります。

● 背板、引出しの修理

背板、引出し修理の様子

背板や引出しの割れには、木材を入れて木釘を打ち直します。

● 引出しの上端調整

引出しの上端調整の様子

棚板と引出しの隙間をなくすために引出しの上端に桐材を足します。上端を少しずつ削って調整し、気密性を回復させます。

● 扉の調整

扉の調整の様子

反りやねじれを削って平らにし、左右の扉の中央がぴたりと合わさり、きちんと閉まるように調整します。

塗 装

● とのこ仕上げ

とのこ仕上げの塗装の様子

全体に「うづくり」(カヤの根を束ねたもの)をかけ、木目を際立たせます。染料と砥の粉を混ぜ合わせたものを下塗し、乾燥後、再度「うづくり」をかけて上塗りします。砥の粉を二回塗り重ねると、しっとりとした深みのある色になります。最後にロウを引いて艶を出します。

● 時代仕上げ

時代仕上げの塗装の様子

ガスバーナーで表面を焼き、すすを取ると木目が際立ちます。砥の粉をまんべんなく木目の中に塗り込み、余分な砥の粉を落として木目を程よく出します。さらにロウを引いて、布で磨き木目を際立たせます。

金物取り付け

金物取り付けの様子